障がい者の就労に関する調査

  1. 調査レポート
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実施の背景
 働くことは、人生における大きなファクター。2018年4月には障害者雇用促進法が改正され、法廷雇用率が2.2%に引き上げられました。法改正が実際の雇用にどう影響を与えているかも聞いてみたい。
 ということで、記念すべき第1回の調査は「就労に関する調査」にいたしました。


調査対象者
Co-Co Life☆女子部サポーターおよび読者

実施方法
インターネット調査

アンケート期間
2018年6月29日~7月15日
有効回答者数:124名

調査結果サマリー
●現在働いている人の割合は、64.5%
●現在の仕事にやりがいを「非常に感じている」と「感じている」の合計は、65.5%
●就職先を探す方法「ハローワーク」がダントツ


詳 細

就業状況について教えてください。

就業スタイルを教えてください。

就職先をどのような方法で見つけましか?

毎月の手取り額を教えてください。※過去働いていた方は就労当時の金額

働く目的を教えてください。※過去働いていた方は就労当時の目的

現職で仕事のやりがいを感じていますか?※過去働いていた方は前職のやりがい

職場の、障がいに対する配慮は?

「職場で、障がいに対する配慮が、よくされている」と
回答した人の詳細(自由回答)

【心理面〜こころのバリアフリー】
他の人よりも遅くても自分のペースで仕事させてもらえる。できないことは手伝ってくれる。
半盲のため、見える・見えないを良く訊(き)いてくれるので、安心します。相手は晴眼(せいがん・見えること)なので、分からずとも理解しようと思っているのを感じられ、それだけでも有難いです。
発達障害があるため、自分で優先順位が決められない。接客ができない。それらを考慮してくださり、接客をなしにしてもらえた。そして仕事はひとつずつ与えてもらった。一つ一つ丁寧に説明をしてくださった。怒鳴られることはなかった。
同時進行が苦手なので、1つのことが終わってから、次の指示を出してくれる点。
会社のトップがさかんにダイバーシティ推進の立場を明確にする発言をしている。トップダウンで受け入れる空気ができてきている。
障がいのある人の働く環境を整えていくことを目的にした社内コミュニティがあり、当事者の声をそこで伝えることができる

【設備などの面〜ユニバーサルデザイン、バリアフリー】
コピー機を、車椅子のまま使えるように買い直してくれた。

職員は本来使えないエレベーターを利用させてもらっている。
足が不自由なので、雨風がひどい時は迎えにきてくれる。
ユニバーサルデザインの採用。
エレベーターに鏡がついてなかったので、つけてくれた。(調査員注:車いすの場合、鏡がないと後ろ向きに移動するのが難しいため)
スタッフによるトイレの付き添い、座敷の仕事場がある、机が広くて低いなど、パッと見、バリアフリーを感じました。保健室もありました。

【勤務時間などへの配慮】
更衣室に、ベッドが置いてあり、休めるようになっている。

「職場で障がいに対する配慮が、されていない」と
回答した人の詳細(自由回答)

【心理面〜こころのバリアフリー】
見えない障がいに対しては理解を得られず、精神的に追い詰められて退職を余儀なくされました。
健常者と障がい者の扱いは同じで、障がい者だからと特別に配慮などはしてもらえなかった。
「会社で転ばれたら労災になっちゃうから大変!!」「障がい者に訴えられたら大変!!」とか、偉い方たちはいろいろ考えてくれてるようでいて、自分の事しか考えてないです。
特性に合わない部署に異動になり、配慮を求めたがなかなか対応してもらえず適応障がいになった。問題なくやれているからといって、障がいがなくなるわけではない。コミュニケーションをとるのがなかなか難しい。話す機会を定期的に設ける等して状況を確認して欲しい。
情報保障の必要性を感じ、協力してくださる方もいますが、予算の関係で実現させることは難しいという現実。また、そのような中でできる範囲で情報保障をと考えてくださるのですが、一部の方のみの負担に偏ってしまうことが気がかりです。
排泄障がいがあるのですが、なかなか理解してもらえないです。
知的や精神に障がいがある方に、急に違う仕事を頼む。すぐに適応できる方ばかりではないので、配慮がされてない。
従業員に、障がいのためにしづらい事や、してほしい簡単なサポートを伝えるのだが、何度伝えても忘れてしまうようで、その度に具体的にして欲しいことを伝えないと動いてもらえない。何度も同じ事を言うのに私自身が嫌になってしまい、諦めて我慢したり、無理に自分でやってしてしまう。

【設備などの面〜ユニバーサルデザイン、バリアフリー】
事務所が段差などバリアだらけ。トイレがすごく狭い。
職場がバリアフリーでもなく、障がい者にたいする配慮は全くありませんでした。


【勤務時間などへの配慮】
出勤が身体的に負担です。現実にはフレックスタイムは無理で、通勤ラッシュの中、電車とバスを乗り継いで、片道約1時間半。体力を消耗して通勤しています。

「働いたことがない」と答えた方にお聞きします。働いたことがない理由を教えてください。

働くためのハードルがクリアになったら働きたいですか?

2018年4月に障害者雇用促進法が改正され、民間企業の法定雇用率が2.2%となりました。これを受けて障がい者の就業状況に関してどう感じられていますか?

障がい者の就業状況に関するご意見を自由にお書きください。

一般企業では、まだまだ健常者の仕事スタイルに合わせて仕事をすることを求められていると思う。かといって、A型・B型作業所などでは異なる障がい種の人たちを一緒にしているがゆえのぶつかり合いがあると思います。
違約金を払ってでも障がい者を雇用しない企業は多いと感じる。
障がい者枠の求人は、障害者手帳を持っていないと応募ができない。私は(障がいの程度・内容で)障害者手帳を持つことができないため、一般の求人にしか応募ができず困っています。
障がい者であっても仕事量は同じだから、お給料がもう少しもらえてもいいかと思う。
先月から働き始めました。通勤が難しいので、在宅勤務で探しました。数年前は、ほぼありませんでしたが、法律が改正されたおかげで少し増えたと感じています。
企業は障がい者を雇ったからOKではなく、障がいのある人が長く続けていけるような環境を作ってもらいたいと思います。雇用率の達成だけのために雇って何の配慮もなかったり、仕事がないので座ってるだけでいい(ただの人数稼ぎ)は悲しいです。
通信制大学で勉強しながら働いているが、学校に所属していると行政の支援機関が利用できない。また私の通う大学には、就職支援室などが無く、ハローワークしか使えるところが無い。勉強は続けていきたいが、支援機関が使えないと障がい者雇用を目指す上で不利だと感じる。
首都圏などの都市部では、車いす使用者でも公共交通機関を使って通勤しやすく、就労の機会が広がっています。田舎は、自動車運転免許を取得して自力通勤できないと、厳しい状況があるように感じます。
●「障がいの等級が高く、仕事ができる人」を探している企業が多い。後天的な障がい者の就業機会が少ない。後天的な場合には、直前の勤務先が一時的にでも雇用するなどの法整備をして欲しい。
働きたい、社会と繋がりたいとは思いますが、排尿障がいなどがあるので理解してくれる企業があるか、バリアフリーか、トイレ問題に二の足を踏みます。
そもそも介助者が必要な重度な障がい者のことは、法律でも考えられていない。通勤にも介助者は必要なのに。
個人的に、精神障がい者はできる業務の幅が、他の障がい者と比べて広いと思っていますが、簡単な仕事しか与えられず全くやりがいを感じられませんでした。
社会貢献活動として障がい者雇用に力を入れようという雰囲気は感じるが、採用する現場での理解が広まらないと定着が難しい。一般企業での障がい者雇用では、職場に障がいのある社員が1人、という場合もあり、疎外感を感じやすい。1人1人の特性に応じた支援ができるよう、採用したら終わりではなく、現場でのマネジメントについてもしっかり指導してほしい。
私は聴覚以外は身体的な不利がないので、そこは高く評価されがちであるものの、聴覚障がいを持つ就労者への情報保障は軽く見られがちである。
インターンシップなどの工夫をして、雇用する側の「受け入れる準備」を充実させる事から始めるべきだと感じています。障がいは人それぞれ、全く異なるので、いかに柔軟に対応できるかが雇用者に求められているはずです。
B型作業所での生活をしながら、障がい者雇用での就労も考えている。技術面や感情のコントロールなどを1人でやるしかないので、求められる水準に自分がなかなか届かないことに、歯がゆさを感じている。
社会に進出することが一番のリハビリなので、怖がらずみんな、外に出て働いて欲しい。障がい者と交わる機会が増えれば、健常者も障がい者も、良い方向に変わって行くと思う。



【Co-Co Life調査部 遠藤久憲(調査員)の分析】

 障がい者専門シンクタンク「Co-Co Life調査部」、最初のレポートは『就労』を選択しました。充実した生活を送るうえで、就労は重要なファクター。また、2018年4月には「障害者雇用促進法」が改正され、民間企業の法定雇用率が2.2%に引き上げらえたタイミングでもあり、一度調査をしてみたいと考えました。

 10年以上を障がい者を取材してきた身とすれば、定量調査の結果に関しては、あまり目新しく感じるものはありませんでした。現在の仕事にやりがいを感じている人の割合は65.5%で、案外、高く感じましたが、実際に仕事を探す場は、ハローワークがダントツで1位であるなど、相変わらずと感じるデータも。

 「働くためのハードルがクリアになったら働きたいですか」という質問に対しては、実に95.2%の人が『働きたい』と回答しました。

 働きたくても働けない理由は、ぜひコメントをご覧ください。「障がい者の就業状況に関するご意見を自由にお書きください」欄のフリーコメントは、ここに紹介できなかったものを含めると、合計91件もの熱いコメントが寄せられました。法定雇用率は変わったが、不満足さはこの熱いコメントの多さに現れているのではないかと感じました。

 「1人1人の特性に応じた支援ができるよう、採用したら終わりではなく、現場でのマネジメントについてもしっかり指導してほしい」など具体的な解決策につながりそうなコメントもありました。

 まずは、障がいを持ちながら働きたいと思っている人たちの、リアルな声に耳を傾けてほしいと思います。実態を知ることが、問題解決の一歩となります。

分析を担当した「Co-Co Life調査部」調査員 遠藤久憲

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