障害者手帳についての調査

  1. 調査レポート
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【実施の背景】

障害者手帳の取得率や手帳に対する意識や活用実態などを幅広くたずねるアンケートを実施。求められる支援や福祉制度への要望を探る。

【調査対象者】

全国の「Co-Co Life☆女子部」サポーターおよび読者

【調査方法】

インターネット調査

【調査期間】

2022年11月29日~12月9日

有効回答者数:143名

【調査結果サマリー】

  • 障害者手帳を取得した時期は「学校卒業後・社会人になってから」が約5割
  • 取得したきっかけは「病院のすすめ」が最も多く約4割、「自分の意思」は2割程度
  • デジタル障害者手帳「ミライロID」を知っている人は約6割、そのうち利用しているのは約5割
  • 障害者割引でニーズが高いのは、住まいの補助や光熱費、交通費、通信費など

 

【取得状況について】

障害者手帳の種類

障害者手帳の形式

障害者手帳が必要な理由

障害者手帳を取得した時期

障害者手帳を取得したきっかけ

✅障害者手帳を取得してよかったこと・気付いたこと

  • 障害者手帳のお陰で、アイデンティティがハッキリしたと思います。(聴覚障がい、うつ病)
  • 手帳を取得して生きやすくなりました。(双極性障がいⅡ型)
  • いろいろな割引があるのが嬉しいです、今まで行かなかった場所にも出掛けるようになりました。(左腕神経叢損傷)
  • 困った時にお手伝いを頼みやすくなりました。(中等度知的障がい、二分脊椎症)
  • 手帳を持つことに抵抗があるかもしれませんが、手帳を持つことで様々な場面で選択肢が広がると思います。(顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)
  • 学校側から配慮して貰えるようになったので、取得して良かったと思いました。(肢体不自由、CIDP)
  • もっと早く取得していたら、より良い職場に出会えていたかもしれないと思います。(自閉症スペクトラム)
  • 産まれてすぐに福祉サービスを受けている人と、大人になってから手帳を取った人では、障がいに対する考え方の違いに戸惑いを感じることがあります。(体幹障がい)

 

障害者手帳を持たない人の理由

✅取得したことを後悔している人の理由。

  • 障がいの程度が軽度だったため、受けられる支援が少なくメリットを感じられませんでした。(精神障がい)
  • 役所や郵便局の窓口で、療育手帳を見せると態度を変える人がいます。馬鹿にしたような態度をとられ不愉快でした。(ADHD、軽度知的障がい)
  • 等級が落ちたので、ほぼ使えません。1級でないとサポートが少ないので、あまり特典がありません。(てんかん)
  • 障害者手帳を持っていると、距離を置かれてしまうことがあります。(脳性まひ)

 

【デジタル障害者手帳「ミライロID」について】

「ミライロID」を知っていますか?

「ミライロID」を利用していますか?

「ミライロID」を知っている人のうち使っている人の割合

ミライロIDを知ったきっかけ

  • snsで紹介されていたのが目にとまりました。(下肢まひ)他多数
  • Twitterで知りました。(双極性障がい)
  • インターネットで知りました。(線維筋痛症)
  • YouTube「チャンネルsatoshi」で見たのがきっかけ。(自閉スペクトラム)
  • ネットからの情報誌で知りました。(二分脊椎症)
  • ミライロの社長さんに勧められたから。(四肢体幹機能障がい)他多数
  • ミライロのイベントで知りました。(脳性まひ)
  • 友人が教えてくれました。(統合失調症)
  • テレビに取り上げられていたので。(双極性障がいⅡ型)
  • 区役所の資料に載っていたから。(精神障がい)
  • 病院のポスターで見ました。(てんかん)
  • ココライフ女子部。(二分脊椎症)

✅「ミライロID」のよいと思うところ

  • 割引クーポンなどがあるところ。(下肢まひ)他多数
  • 手帳より携帯しやすい。(右下肢機能全廃)他多数
  • スマホは常に持ち歩くので、手帳を忘れる心配がなくなる。(聴覚障がい)他多数
  • かばんから手帳を出すのに時間がかからないところ。列の後ろの人を待たせる後ろめたさがなくなりました。(脳性まひ)他多数
  • 携帯の画面を見せるだけで公共交通機関に乗れるところ。(脊髄性筋萎縮症)
  • データ化されているので、忘れても記録が残るところ。(軽度知的障がい、ADHD)
  • 紙の手帳のようにクタクタにならないところ。(二分脊椎症)
  • 手帳を持ち歩かなくていい便利さ、荷物が減る。(ジストニア)
  • 映画館やコンビニなどの割引もあり普通のクーポン感覚で使えるのが嬉しい。(脳性まひ)
  • 障がい者に役に立つ情報が得られる。(変形性股関節症)

✅「ミライロID」の不安なところやデメリット

  • いちいちログインしなきゃいけないところ。(脊髄性筋萎縮症)他多数
  • 起動に時間がかかるところ。(解離性脳梗塞、ジストニア)他多数
  • マイナポータルと連携していないと使用できないところ。まずマイナンバーカードを作らなければいけないから。(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)他多数
  • 写真をアップする時がめんどうです。(聴覚障がい)他多数
  • どこでも使えるわけではないところ。(右股関節機能の全廃、原発性胆汁性胆管炎)他多数
  • 高速道路でも使えるといいですね。(左腕神経叢損傷)
  • 障害者手帳を上手く読み取れなかったことがあります。(二分脊椎症)

 

【障害者手帳の活用について】

障害者手帳は常に持ち歩いていますか?

よく利用する障害者割引やサービス

増やしてほしい障害者割引

障害者手帳について改善してほしいこと

✅障がい者手帳にまつわる不満や困っていること

  • 障害者手帳のことを知らない係員もいて、身分証として提示しても「知りません」と突っぱねられたことがありました。(両下肢機能の全廃)
  • 本当に本人ですか?と言われたことがあります。(双極性障がい、自閉症スペクトラム)
  • 提示したときに障がいを疑われたことがあります。手帳をマジマジと見て番号をひかえていました。(聴覚障がい)
  • 障害者手帳を見せたら「ずるい」「詐欺だ」と言われたことがあります。(視覚障がい、上肢障がい、下肢障がい)
  • 私の障がいをよく知らない人に手帳を見られた時、嘘つき呼ばわりされました。(二分脊椎症)
  • 窓口での提示が必要なので、列に並ぶ人が多いと時間がかかってしまいます。(二分脊椎脊髄脂肪腫)
  • 障がいの程度によって受けられる福祉サービスや支援内容に差がありすぎると思います。(精神障がい)
  • 変な目で見られることがあります。(統合失調症)他多数

 

✅あなたにとって障害者手帳とは?

  • 健常者と同じような「普通」っぽい生活を送るために必要なもの。(下肢まひ)
  • 持っていることによる安心感。(右下肢まひ)
  • 頑張っている自分を認められるアイテム。(内部障がい)
  • 取得したことで明るくなったかもしれません。(軽度知的障がい、適応障がい、抑うつ、解離症状、気管支喘息)
  • ないと困るもの。身分証とかお金とかケータイとか車椅子と同等のものです。(両下肢機能の全廃)
  • マイナンバーカードができるまでの私の証明書。免許証のような写真付きの身分証として使っています。(てんかん)
  • 障害者雇用で収入が少ないので、割引がとても助かってます。(双極性障がい、自閉症スペクトラム)
  • 金銭面での安心感。病気の深刻度を理解してもらうための裏付け。アイデンティティ。(精神障がい)

 

【Co-Co Life調査部 松本純(調査員)の分析】

「障害者手帳を取ってよかった」という人が大半ですが、手帳を見られることに抵抗を感じる人も少なくありません。割引を受ける際に白い目で見られたり、障がいを疑われたりすることがその理由でしょう。

手帳を持つ利点については、公共交通機関や施設の割引、医療費の補助をあげる人が目立ちました。乗車券割引は利用している人が多い半面、「増やしてほしい」という要望も多いのが特徴的。両方の意見があるのは、割引対象外の障がい区分や鉄道会社ごとに対応が異なる点が考えられます。

また、生活必需品の補助を求める声が多いのは、障がい者の収入と関連がありそうです(参考:「平成30年度 障害者雇用実態調査・国民生活基礎調査」)。「障害者雇用は低賃金なので割引はありがたい」という読者の声から、配慮と引き換えに給料を安く抑えられる状況がうかがえました。

障害者手帳を取った時期は、「大人になってから」という人が半数近くを占めますが、幼少期に取得した人も3割程度います。早くから手帳を持つ人は、障がいを当たり前のものとして受け止める人が多い一方、大人になって手帳を取った人の思いは複雑。支援にたどり着いた安堵感がありつつ、障がいを恥じる気持ちもあるようです。周囲の目と本人が持つ障がい者のイメージが葛藤を生み出す要因ではないかと思います。

ただ、手帳の取得が自己理解につながり、生きやすくなった人が多いのも事実。自分を知ることは、「障がい者の生きる術」とも言えそうです。

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